論 考

残り時間100秒

 『ブレティン・ザ・アトミック・サイエンティスト』誌の、「世界終末時計」の残り時刻が公表された。「残り100秒」で、1947年に開始して以来、歴代もっとも短い。

 いままでもっとも短かったのは、2分である。1953年に米ソが水爆実験を成功させた。それから世界中で平和運動と世論が立ち上がり、60年のパグウォッシュ会議声明を経て、63年には12分まで伸びた。これは、米ソが部分的核実験禁止条約を締結したからである。

 72年には、SALTとABM制限条約の締結で12分になった。91年は17分、ソ連邦が崩壊した。2002年には、アメリカがABM条約を脱退したので7分、07年は北朝鮮・イラン問題、地球温暖化で5分、10年にはオバマ大統領の平和演説で6分、12年は福島原発事故で5分、気候問題の深刻化、核軍拡懸念で15年は3分。

 17年はトランプ氏の登場で2分30秒、18年は2分、19年も2分、そして今度の100秒という表示になった。分ではなく秒で表示した意図は誰にでもわかるだろう。