論 考

年の瀬や天翔けて行く人ゴーン

 ゴーン氏が、自家用ジェット機で、レバノンのベイルートへ到着したという報道には驚いた。検察と話し合いがついていたのかどうか、パスポートはどうしたのか。目下は不明である。単独で逃避行を敢行したのであれば、まるでハリウッド映画みたいだ。

 ベイルートは日本からは遠いが、敗戦以前には、日本人もたくさん中国や、さらにはロシアへ密出国している。社会的運動が弾圧されていた時代、新天地を求めて、あるいは新たな活路を開くために決行した。

 もちろん自家用ジェット機というような便利なものではなく、貨物船に船底に隠れたり、大変な苦労をした記録が少なくない。

 本格的裁判が来年始まる予定であったが、まさか、ちょっと休暇で旅行したのではなかろう。またまた話題が提供された。現地で記者会見をやるという報道も流れている。

 安倍長期政権の問題点が新聞報道を賑わしている。権力の中枢がでたらめをやり、与党と官僚がそれを支え、議員や官僚も不埒な行動で批判を食らう。そんな中で、何が起こっても不思議ではない。

 暦上の年が変わっても、この事情は貫いて継続する。

 虚子の「去年今年貫く棒の如きもの」は、さすが名句でありますねえ。