論 考

英国の没落期が長期化するのではないか

 英国下院総選挙結果によって、今後の英国政治がどうなるか、目下は、変数だらけというところである。

 保守党の圧勝は、従来、労働党の牙城であった地域が保守党に転換したのが大きな要因である。たとえばイングランド中部の労働者が保守党内部の1つの勢力を構成したとみられる。

 ジョンソン氏がそれを無視して政治をおこなうことが可能かどうか。

 来年1月にEU離脱が実現するのはほぼまちがいないが、EU側との膨大な交渉は容易ではない。保守党の圧勝でジョンソン氏が行動の自由を得たのは事実であるが、交渉が有利に運ぶことが保障されない。

 スコットランドの議会選挙が2021年におこなわれるが、目下の動向は、スコットランド独立に向けて拍車がかかっている。英国がEUを離脱する内向きの方向性からすれば、スコットランドもまた自分たちの独立を志向する動きを止められない。連合王国が内部分裂を起こすことになる。

 アイルランド問題もどうなるかわからない。

 英国のメディアは、国内がさらなる分断へ向かうのではないかという危惧を隠さない。

 英国に進出している企業が英国を離れる可能性も高い。新たに英国へ進出しようという動きが出るとは思いにくい。