論 考

トランプ大統領の弾劾

 米下院は大統領弾劾条項の起草に入った。

 贈収賄・職権乱用・議会妨害・司法妨害などが提議される見込みだ。憲法学者4人の公聴会では、民主党推薦の学者と共和党推薦の学者の見解が正面から対立している。

 民主党側の学者は、米国を専制政治にしてはならないと明快である。共和党側の学者は、トランプ氏の行動は支持できないとしつつ、弾劾を進めることが国内対立を激しくかつ長期化することを畏れるという趣旨であった。

 つまり共和党側の学者もトランプ氏が憲法違反をおこなったということ自体を弁護できていない。

 下院では年内採決、続いて上院で採決されるが、上院定員100人中共和党が53人であり、弾劾可決には2/3の賛成が必要だから、常識的には弾劾は成立しそうもない。

 しかし、すでに公表された弾劾相当理由を見れば、民主党支持者のみならず弾劾しなければならないと考えるであろう。共和党が党利だけでトランプ支持を貫けば、次の大統領選挙で勝算はない。

 単純に弾劾が成立するかしないかだけの問題ではない。