トーマス・マン(1875~1955)はほぼ100年前に、「文明と文化は対立物」であると指摘した。文化と文明をごっちゃにしていることが多いが、この指摘に触れたとき新鮮な感じがした。いわく、
文明は理性であって、懐疑・分析、啓蒙の産物である。
文化は様式をもった野蛮状態であることもしばしばある。
たとえば、暴力(個人の暴力・国家の戦争)が許容されるべきでないというのは、文明的であり、理性の力である。現実世界には、しばしば暴力行為が発生する。
人間の頭の中には野蛮が根づいている。すべての人間の頭の中から野蛮を撲滅することは不可能だ。
だから少しでも理性を磨こうという心構えを広げねばならない。