新聞が賃上げの記事を掲載する。
しかし、「残業が減少すれば残業代が減少して賃上げが相殺される」というような記事は、昔の労働記者は書かなかった。
なんとなれば、賃金と労働時間は一体なのである。
賃上げとは、賃率を引き上げることなのだ。賃率とは、労働者の総収入÷総労働時間、すなわち単位時間当たりの賃金である。
また、残業代という表現は感心しない。本来、残業はないものである。残業代なるものは経営側が支払うペナルティである。
昔は、低賃金であっても、真っ当な労働者は残業で稼ぐとは言わなかった。残業代がなければ食べられないような賃金ではいかん。だから賃上げに気合が入ったのである。
細かい話のように思われるかもしれないが、こういうところが昨今の労働組合活動停滞の本質のように、わたしは思う。