論 考

選挙結果=覚悟の差+イメージの差+自滅の刃

筆者 司 高志(つかさ・たけし)                                

 今回の衆議院選挙は、自民党の大勝であった。

 筆者のまとめは、「選挙結果=覚悟の差+イメージの差+自滅の刃」となる。

 高市総理は、無謀とも思える勝負に出たが、この悪手に押されて、立民自身がさらにひどい悪手を打ってしまった。そもそも従来、政策が良くて票が集まっているのではない。自民への批判票が大きいのだが、すべて実力と思い違いしている。今回は、元の支持者、自民の批判票がいっぺんに逃げ出した。その原因を分析したのが、前記の式である。

 最初の覚悟の差だが、高市総理は、国会の論戦が始まる前に勝負処とみて冒頭解散の勝負を仕掛けてきた。

 過去には、野党の数の方が多かった時もあったので、まとまれば逆転できた。しかし、誰も先頭に立たず、自民から連立の申し出があるのをひたすら待っていた。先手を打てば、向かい風の圧力を受け、火の粉も降りかかる。それを避けて、楽ちんにタナボタを待っていた。

 これでは勝利の女神に突き放される。勝負処で踏み込まないと、ピンチが巡ってくる。消極的態勢を大きい試練が襲ったのである。

 次がイメージの差である。高市総理は手駒がないのに、何かをしてくれそうだという期待感を高めることに成功した。駒台に手をかけて、今まさに重要な駒を打ち付けそうな雰囲気を見せた。しかも、駒台の上を見せない。乗っている駒は実は空気である。

 たとえば、国家情報局を作るという。実体は内閣情報調査室のリニューアルである。省庁の組織替えは、現存機能の付け替えが主で、国民があっと驚く組織機能の追加は起こりにくい。

 防衛3文書の書き換えは定期的になされており、そろそろ書き換えの時期である。その検討を少々早めに行うというが、今までの延長線上になる可能性が大きく、画期的になるというわけでもあるまい。

 責任ある積極財政は、「補正予算を前提とした予算編成と決別し、経済成長による税収増なども勘案しながら、必要な予算は当初予算で措置します。投資のための「新たな予算枠」を設定し、市場の信認を得ながら複数年での機動的な財政出動を可能にします。」となっているが、安倍元総理らが多用してきた補正予算を使わないと言っているだけだ。投資の先は、票が返ってくる業界団体、利権団体ではないかと危惧する。

 最後に自滅の刃である。公明党のバックにあるS学会のイメージが相当に悪いことを考慮していなかったのではないか。筆者が大学生のころ、学内で哲学研究会に誘われて行くとS学会であった。世間を騒がせていた折伏(しゃくぶく)で、他宗派を論破する。強引な勧誘が世間からも危険視されていた。T一教会もサークルを利用して学内で勧誘していたが、S学会の方が目立っていた。

 このため、私たちの年代では、S学会に対して非常に悪いイメージが残っている。この点を軽視していたのではないか。バックのS学会と結びつくのは、憎悪や嫌悪感を招きやすい。多くの支持者が去っていったのではないか。

 立て直しは相当に難しいと思うが、代表選も終わった。どんな具合に進展するか。目下は、期待をもって注目する。