月刊ライフビジョン | off Duty

主婦休暇4日間の東北三座登頂紀行

曽野緋暮子

 山仲間との年一度の本格的登山が、今年は栗駒山、八甲田山、岩木山、岩手山と東北の山になった。東北の山は登山口までのアクセスが悪い。車がないと思うようなスケジュールが組めない。しかし東北は遠い。新幹線か飛行機で行ってレンタカーを使うか、時間と費用どちらを取るか。時間はあるがお金は厳しいとの結論で、片道2日かけて車で行くことに決まった。

 主婦している私には9日間の日程は厳しい! でも、この機会を逃すと東北の山には行けそうにない。行きたい!! スケジュール表とにらめっこしながら作戦を練る。岩手山を諦め、新幹線一ノ関駅でピックアップしてもらい、新幹線八戸駅で降ろして貰うことにした。ありがたいことに登山用具は車で運んで貰うことになった。

 7月21日、一ノ関駅で合流。栗駒山の登山口須川温泉着。濃い霧で周囲が何も見えない。小雨も混じる。翌朝も濃い霧だ。宿の主人の「頂上は晴れていると思いますよ。」と言う声に励まされて霧の中を出発。登るにつれ、視界が開ける。雲海の中に鳥海山がぽっかり。岩手山も山頂が浮かんでいる。この高さで雲海に囲まれるなんてお天気が悪かったおかげなんだ。名前をすぐ忘れてしまう山の花々も疲れを癒してくれる。

 今回ヤマスタと言うスマホアプリを入れてきた。これは二百名山の頂上でスマホでチェックインをするとその山のスタンプがスマホに入ってくる。その時刻も入るので自分の登頂記録にもなる優れものだ。山頂でチェックイン。栗駒山のスタンプをゲット。

 7月23日、八甲田山もお天気は芳しくないが雨は降っていない。花の八甲田の名の通り、花が次々と現れて楽しい。お花畑のような所も数カ所ある。山頂でヤマスタチェックイン。

 山頂で昼食を片づけようとしているとポツポツと雨が落ちだし、いきなりの豪雨になった。慌ててカッパ上下を着る間にも濡れてしまった。雨の中を歩く。山道を雨が川のように流れる。山の天気は変わりやすいと言うが、こんな急変には初めて出会った。

 豪雨の中、足元を見ながらひたすら歩く。以前豪雨の中を歩いた経験があるのでそれほど気にはならない。登山の熟練者が一緒なので心強い。こんな時にも花には癒される。登山口の酸ヶ湯でカッパを脱いだ時はホッとした。テレビでよく観る酸ヶ湯初体験。日帰り入湯料タオル付千円は高いなぁ。石鹸等使用禁止。お湯で流すだけ。皆が見渡せるこんなおおらかな混浴は初めてで戸惑う。顔を洗った時お湯が目に入ると痛い。温泉の精度が良いのかな。

 7月24日、岩木山。昨日の雨を考慮した安全優先で、八合目登山口からの登山。八甲田山に比べて少なかったが、登山道で花に出会うのはうれしい。3日目にして青空の見える山頂でヤマスタチェックイン。青森県で一番高い山ということでトロフィスタンプも同時入手。

 八合目からの登山者が次々と登ってくる。ほとんど同世代の人達だ。世にいう中高年登山ブームを実感した。麓の嶽温泉に入る。ここの温泉も酸ヶ湯の流れか、入口は男女が分かれているが中は薄い仕切りがあるだけで行き来自由! またまたビックリ! ここは石鹸等使用可で汗を十分に落とせた。

 その後、岩手山に心を残して八戸駅まで送って貰った。ここでも雨雲の真下に入ると道路が川の様に流れる豪雨に出くわした。雨で前方が見えなくなり車が流されるのではないかというほどの雨だ。八戸駅では雨は止んでいた。最近の雨の降り方は恐いなぁ、と実感した。

 日程、費用で迷った末、思い切って参加した今回の東北三座は大満足の登山だった。来年も山に登りた~い!!!