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「国民の祝日」から意味が抜ける

おかぼん

 来年は4月30日に天皇陛下が退位され、5月1日に皇太子さまが即位されるということで、政府は5月1日を祝日にしてゴールデンウイークを10連休にする方向で検討しているという。それはそれで結構なことではあるが、連合などがメーデーを祝日にするよう働きかけても、役所や金融機関が長期連休になることを理由に認めてこなかったが、来年だけは例外ということだろうか。来年一度試してみて混乱のないことを確認し、メーデーの祝日化の試金石としてほしいものだ。

 また再来年は東京オリンピック開催ということで、海の日を7月23日に、体育の日を7月24日に、山の日を8月10日に移動し、7月23日から26日を4連休に、8月8日から10日を3連休にするという。こちらは超党派の議員立法で関連法案を提出するという。多数の海外要人の来日・離日の警備のため、都心の通勤・通学者を抑えるのが狙いというが、かなりの学生は夏休みに入っており、通勤者も分散して夏期休暇を取得する企業も多く、ラッシュが比較的緩和される時期である。そもそも、都心の事情で国民の休日を3つも移動させるというのは理由として無理がある。真の狙いは開会式、閉会式近辺に休日を集中させて、オリンピックムードを盛り上げたいというのではないのか。

 そして3年後の2021年からは、海の日は7月第3月曜日から7月20日に戻される。オリンピック開催の祝日移動に祝日の意義が薄れると反対していた海事振興連盟がそれを条件に賛成したからだ。

 もともと祝日は本来の意味があり制定されたもので、再来年のような移動が起こると一体何なのだ、ということになる。休日を増やすために祝日を増やしてきたが、これ以上増やすのも限界なので移動で何とか乗り切ろうというのが正直なところではないか。どうも「ハッピーマンデー法」により移動祝日ができた頃からおかしくなってきた。月曜日の祝日が急増し、学校現場では月曜日の時間割が固定できなくなったと聞く。

 連休を作りたければ土曜日と祝日が重なる場合、その前日の金曜日を休日とする手もあった。土曜日は平日という見方もあるが、役所も金融機関も休みで公共交通機関も休日運転である。残る飛び石連休は、有給休暇を活用するというのがあるべき姿ではないのか。

 ところで、憲法改正の是非で騒がしいが、仮に改正されたら憲法記念日はどうなるのだろう。施行日はやはり5月3日かそれとも。ゴールデンウイークの行く末は。いろいろ考えさせられるのである。