月刊ライフビジョン | 地域を生きる

市民版公共施設再編計画

薗田碩哉

 わが住む町田市が公共施設再編計画なるものを進めていて、それに対して「まちだ未来の会」という市民グループが結成されて批判を展開していることは再三述べた。2月にはいよいよ市長選・市議選がある。そこをターゲットにギヤをトップに入れて効果的な動きをしなければと考えている。

 市の進めようとしている再編計画には許し難いところがいろいろあって、それを指摘した「再編計画への10の疑問」という文書をまとめて学習会を行い、あちこち発信してきた。しかし、市の計画に文句をつけているだけだと、結局は相手の土俵に引きずり込まれ、少しばかりの修正を勝ち取るくらいが関の山だという気がしてきた。市の計画の拠って立つ土台自体を批判して、別の発想から計画を組み立て直す必要がある――そこで未来の会は市への対案として「市民版再編計画」をまとめるべく、市民の味方(市民の見方でもある)の専門家の協力を得て作業を進めている。

 そもそも市の計画は総務省辺りの主張の引き写しで、超高齢社会がやってきて周り中が役に立たない年寄りばかりになり、人口が減って経済は縮小し金もなくなるのだから、公共施設はできるだけ削減し、可能なところは民間に出してしまおうという方針なのだ。だが、ちょっと待ってほしい。高齢社会ってそんなに暗い、どうにもならない社会なのか。今の高齢者は昔とは違って肉体的にも精神的にもはるかに元気。そこそこお金もあり社会的関心も高く、わが町の経営や運営にだって進んで関わって行きたいと思う人がごまんといるのだ。見くびってもらっちゃ困るよ。この高齢パワーを生かさないでどうするのだ。

 市の計画の要諦は「集約化」にある。中心市街地やいくつかの都市核(鉄道の駅周辺)に公共施設を集中し、ショッピングセンターと同居させれば「にぎわい」が出来て人も集まる。郊外の団地は少子高齢化が進むから、学校を統合して数を減らし、そこに介護サービスなどの福祉施設を併設した複合施設を作れば効率的だというのだ。これに対して市民側は「分散化」を対置させようと考えた。子どもも高齢者も歩いて行き来できる小学校区こそが基本的なコミュニティではないか。学校は大規模でない方がいい教育が出来るはずだし、建物も補修や減築(3階建てを2階にするなど)によって長寿命化を図ればよい。30年経ったら何でも建て替えるというのは土建屋の論理であって、今ある施設を地域の力を結集して大切に使い、学校教育と社会教育の融合、福祉サービスにおける行政と市民の協働を追及して「やすらぎ」のあるコミュニティづくりを目ざそうという主張である。

 何よりも市民側が求めているのは、町の将来像や施設の再編の具体化について、徹底した市民参画が必要だということである。東京から雇ってきたコンサルタントが勝手に作った計画を、形式的な説明会を何度か開いたぐらいでどんどん進めてしまう役所主導の体質にメスを入れなければならない。わが町のことを当の市民の知恵を活かさずに決めてしまったら、市も目標に掲げている「みんなが住みたくなる町」など、できるはずがない。町の再編の主役はだれか、いまこそ「市民自治」を問い直す時である。

【街のイベント帖35】さんさんくらぶの餅つき

 一月半ば、わがくらぶ恒例の餅つきが行われた。里山田んぼで収穫したお米15㌔を老いも若きもみんなで搗いて餅にした。搗きたての餅の美味しさを噛みしめながら、お酒もだいぶん進んだことは言うまでもない。

まちだ未来の会  ブログ  https://blogs.yahoo.co.jp/machida_huture_625
       ツイッター  http://twitter.com/machida_future/


 薗田碩哉(そのだ せきや) 1943年、みなと横浜生まれ。日本レクリエーション協会で30年活動した後、女子短大で16年、余暇と遊びを教えていた。東京都町田市の里山で自然型幼児園を30年経営、現在は地域のNPOで遊びのまちづくりを推進中。NPOさんさんくらぶ理事長。