月刊ライフビジョン | 地域を生きる

市議会へ請願の顛末

薗田碩哉

  わが町(東京都町田市)の公共施設再編計画に異議申し立てをするべく、何度も学習会を開いて論議をしてきたことはこの欄でもすでに述べた。論議を踏まえて請願をまとめ、1700名ほどの署名を集めて9月市議会に提出した。請願内容は至極穏当なもので、①「公共施設再編計画」の策定に当たっては、積極的な情報公開を行うとともに、市民との意見交換等による合意形成のための十分な機会と時間を確保すること。②各施設の具体的な計画案、または見通しについて早急に市民に提示すること、というのである。

 早速、総務委員会から呼び出しがかかり、請願の趣旨説明に来いというので出かけて行った。市役所の3階にある議会の委員会室はなかなか立派で、革張りの高価な椅子が並び、正面に委員長と副委員長、右手に議員諸侯、左手に市の偉いさんが向き合って綺羅星のごとく座っている。我らの席は末席で、正面に鎮座ましましている委員長さんは表情がよくわからないほど遠い。我ら2人の説明役に与えられた時間はたったの5分、すぐ後ろの傍聴席には仲間がたくさん詰めかけて固唾をのんで聴いている。

 5分間スピーチでは大したことは言えないが、できるだけ要領よく話を進める。5分経過で無情の鐘がチーンと鳴り、たちまち議長が「はい、それまで」と制し、議員からの質問タイムとなる。質問への答えには時間制限はないので、質問さえされれば、言いたいことを縷々展開できる。質問はいろいろあったので、その都度「ハイ委員長!」と手を上げて指名を待って(国会の風景と同じだ)、ああじゃこうじゃと陳述した。

 否定しようのない請願なので、すんなりいくかと思いきや、保守系議員からいちゃもんがついた。請願の1項と2項は矛盾している。1項で市民の参加を要求しておきながら、2項では計画がすでに出来できあがっていることを前提にしているではないかというのだ。これはまた乱暴な揚げ足取り。実は再編計画の裏側では、個々の施設の統廃合のプランが着々進行しているということは議員さんならみなご存じのはず。その開示を求めたのに、知らん顔して言葉尻を責めて来るとは! あれこれ弁明して説明は終わり、その後の会議では、すったもんだの挙句、1項はいいが2項が変だという理由で継続審議となる。

 並行してセットで出していた地域の小図書館の廃止反対の請願は、具体的な案件だし、周囲の町内会・自治会がこぞって名を連ねているので、市議たちも反対しにくかったろう、すんなり採択となった。とは言え、採択されたからと言って、それがそのまま実行されるわけではさらさらない。市当局がホントにその気になって計画変更を決断するまでにはまだまだ気を抜くことはできない。

 継続審議も悪くはない。議論を通じて、この党が好意的で、かの党は否定的というのがよくわかったし、行政の魂胆も見えてきた。採択されなかったことの危機的状況を改めて市民に訴えて問題の所在を広く知らせ、気を緩めずに先へ進もう。来年2月には市長選と市議選が同時に行われる。4年に1回しかやってこないこの時を、市民自治が輝く日にするためには、もう時間はあんまりないのだ。


【街のイベント帖31】 田んぼの見回り

 夏の終わりの田んぼは青々と茂り、稲の穂が出て陽光のもとで輝いている。この緑の海を我が物顔に飛び回っているのがイナゴだ。今年も収穫の一部を彼らにも分け与えないといけないようだ。

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薗田碩哉(そのだ せきや) 1943年、みなと横浜生まれ。日本レクリエーション協会で30年活動した後、女子短大で16年、余暇と遊びを教えていた。東京都町田市の里山で自然型幼児園を30年経営、現在は地域のNPOで遊びのまちづくりを推進中。NPOさんさんくらぶ理事長。