月刊ライフビジョン | off Duty

しつこいコロナにもう、うんざり

曽野緋暮子

 コロナ感染者数減でマスク、手洗い、ソーシャルディスタンスが保てればお出かけして良い雰囲気になってきた。昨年も今春もぽっかり動いてO.Kムードの時があったが、人の目を気にする田舎暮しで動くことができなかった。北海道に旅行しました、富士山、立山、北岳に登りました等々、友人からの便りを良いなあ、羨ましいなあ、と思うばかりだった。

 先日友人が、知り合いの水彩画家の個展が3年振りにあるので行きましょうと声をかけてくれたことも後押しして、我慢してばかりでは動けない老人になってしまうぞ! と隣接する観光の街に出かけることにした。

 平日だが、観光地らしい人出と賑わいがあった。秋晴れで気持ちよく歩ける。ある程度の人波があるとなんとなくほっとして歩けるなあ。妙に感慨深い。修学旅行の学生達がスマホ片手に右往左往している。

 私達も目的のギャラリーをスマホで確認しながら歩く。看板を見つけたが、引き戸が開かない。「お休みはないはずなのに?」と友人がつぶやく。細い路地を抜けてぐるっと回ってみると、同じ看板があり花が飾られていた。「あっ、こっちが玄関だったんだ。」個展会場に無事到着。

 古民家を改造したギャラリーの落ち着いた雰囲気にぴったりの静かな水彩画が並んでいた。額も手作りだそうで、素朴で画とマッチしていた。テレビ番組の水彩画の先生の言葉を思い出しながら一点一点眺めて行った。「じっくり観て頂いてうれしいです。」と画家に言われて気恥ずかしい思いだった。お礼にと絵葉書セットを頂いて恐縮だったが、3年振りの個展開催で画家さんも生き生きされていた。

 折角のお出かけだからちょっとリッチなランチをと思い、以前よく行った老舗の和食店に向かった。営業時間のはずなのに店内が暗い。他にも数人のお客さんが戸惑っている。店内に声をかけると「コロナになってから平日は予約客だけにしています。きょうは予約客がなかったので営業していません。」と申し訳なさそうに言われた。それならばと、ちょっと高くなるけれど老舗の洋食屋に行った。何人か並んでいるが、ここも店内が薄暗い。

 後から来た人が「予約しているので。」と店内に入って行った。ここも予約客だけなのかと思いつつ店内に声をかけると、「今、段取りしているので、どうするか決めるまで待ってください。」と言われた。これでは埒が明かないと他の店を探すことにした。飲食店にコロナの影響が大きいとニュースでは知っていたが、人件費、光熱費等経営の苦労を垣間見た思いだった。

 どこでランチをしようかとぶらぶらしていたら、路地の端に昔ながらやっている雰囲気の蕎麦屋を発見。戸を開けるとテーブル5つ位のこじんまりしたお店だった。コロナのせいで相席はしないようで、外で待つように言われた。打ちたての新蕎麦がめちゃくちゃ美味しかった。天ぷらもだし巻き卵も揚げたて、焼き立てで美味しかった。コロナのお陰で良い店を見つけたなとちょっと得した気分だった。

 コロッケやアイスクリーム等歩きながら食べている学生や、商店街のあちらこちらに設置されたベンチに腰かけている親子連れを見ていると、コロナ禍前の日常が戻った錯覚に陥りそう。でも違うのは皆、マスク姿、お店に入る時は体温測定と消毒スプレー。このスタイルはずっと続くのかな?

 帰りのJR在来線は満席で立ちっぱなしだったのは、コロナでJRの本数が減った影響があるのかも。

 帰宅後、友人からの電話によると小学校の学芸会で、今年も観覧は1家族2名以内と言われたので期待していた孫の学芸会を観に行けない。このまま、運動会も学芸会もリアルで観ることないのかな? と嘆いていた。そういえば、地元の祭りも各地区総代が神社に集まるだけで子ども神輿が出なくなって3年目だ。このまま消えていく行事もあるのだろうなあ。

 コロナ第8波の話が出始めた。同時流行が懸念されているインフルエンザワクチンをかかりつけ医で接種した。これから何度ワクチン接種をすることになるのだろう。