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緊急事態宣言への協力は自粛させて…

おかぼん

 緊急事態宣言に沖縄県が加わったと思ったら、それに合わせてまたもや緊急事態宣言が延長された。現在の状況で緊急事態宣言の延長はやむなしと思うが、それにしても2回目以降の緊急事態宣言は本当に緊急事態なのか。明らかに緊急事態がヘンイしている。というか政府がヘンイさせてしまった。

 コロナの前に発売された広辞苑第7版には、緊急事態は「①緊急の対策を講じなければならない事態。②大規模な災害または騒乱などに際し、治安維持のための特別措置を必要として内閣総理大臣が布告を発する事態。旧称、国家非常事態。」と書かれている。現在の状況を見るにつけ、この言葉の意味からはほど遠い。

 安倍前総理もとても褒められた状況ではなかったが、急遽学校を休校にするなど曲がりなりにもまだ緊迫感があった。それに引き換え菅総理の緊迫感のなさは余りにも酷い。呆れるばかりである。支持率が低迷する道理である。

 この1か月を見ても、東京では都知事の要請に応じてゴールデンウイーク中に電車の間引き運転を行ったが、JR東日本は6日の混雑状況を見て、7日はあっさり取り止めてしまった。緊急事態宣言はその程度の軽いものではないはずである。

 それにしても、延長するごとに規制が緩和されるというのは本末転倒も甚だしい。一般の社会人の常識では考えられないことである。そしてそれを当然のように平気で実行するのだから恐ろしい。

 納期のある仕事でその達成が困難になってきたら、応援や残業などで懸命にその達成に努力するはずである。そしてそれが達成できなかったら、さらなる応援や残業も場合によっては徹夜をしてでもやり遂げようとするはずである。

 納期に遅れたとき、納期の繰り下げと同時に残業を取り止めるなど考えられないことである。それを緊急事態宣言で政府は簡単にやってのけ、そしてそれを懲りずに繰り返すのであるから開いた口が塞がらない。

 今日も混雑する都内の駅構内で、不要不急の外出を控えるよう要請するアナウンスがむなしく響き渡る。その雑踏の中には、大規模ワクチン接種の会場下見を口実に都心の会場へ足を運ぶ人も混じっている。

 緊迫感なき緊急事態宣言。これで休業要請させられてはたまらない。