月刊ライフビジョン | off Duty

ヒートする輪舞・covid-19

曽野緋暮子

 先日、運良く1回目のコロナワクチン接種を受けることができた。特に副反応もなく、6月の2回目の接種を心待ちにしている。

 4月後半から地元でもボチボチと感染者が確認されだしたが、ワクチン接種に関しては自治体から何のお知らせもなく、どうなっているのかとイライラしていた。連休明けに市のH/Pに予約開始のお知らせが出た。90才以上を対象に5/10~予約開始、5/18~接種開始。65才以上を対象に5/17~予約開始。6/1~接種開始。事情通の友人情報ではワクチンは600人分到着。市の90才以上は約100人、65才以上に回るワクチンは500人分強。対象者は約18,000人。超低い確率だが、動かなければ何も始まらない。接種券の到着を今か今かと待った。

 接種券が届いた。ニュースではインターネット予約の方法が難しいとのこと。早速パソコンでURLを開いてシミュレーションをした。予約開始前なので途中までしか繋がらないが、予め登録できる所だけインプットしてURLをお気に入りに登録した。電話はフリーダイヤルでは繋がり難いだろうと思い、固定電話番号でワクチン接種に関して詳細を質問し、スマホの電話履歴を残した。これで電話はワンプッシュで架けられる。準備できることはしたぞ(笑)。

 数日後、市の広報LINEにワクチン1万人分が届くことになったので接種日を前倒しにするとお知らせが来た。確率が格段に高くなったと同時に申し込みも多くなるだろうなあ。

 申し込み当日は早めに起床。家事、朝食を済ませて受付開始の8時半にスマホ片手にパソコンに向かう。「個別接種の病院」にまでたどり着くが、そこから進まない。慌てて別の病院をとキーを叩くが、そこはWEB対応していないと出た。パソコンを動かしながらもスマホを操作する。奇跡的に5回目で電話が繋がった。繋がったことに驚いたが、家族分も一緒に申し込めてラッキーの思いが強く、久々に朝から大仕事をこなした気分だった。

 その日の午後、隣の市に住むY子から電話があった。彼女は民生委員をしている。ワクチン接種申し込みに関して地域の人から苦情が絶えないそうだ。「電話もインターネットも繋がらないのにどうしてくれるんだ!」と怒られることもあるとか。皆、イライラをどこかにぶつけたいのだろう。彼女はパソコンもスマホも持っていないのでどんな状況かわからないし、情報収集もできない。ストレスが溜まると愚痴る彼女自身、まだ予約できていないそうだ。

 先日、朝日新聞出版『AERAdot.』と毎日新聞が、大規模接種センターの予約システムに架空の番号を入力して繋がったことからシステム不備を防衛省に質問したというニュースが出た。思わず「ざけんな!」と思った。これだけ、予約が繋がらなくて困っている人が多い時にお試しでそんなことをして「システム不備」を見つけたと鬼の首を取ったように言うなんて、どうかしている。さらに朝日新聞は社説で防衛省からの抗議に際して「取材過程における予約は真偽を確認するためで、その後キャンセルしたことから希望者の機会を失うようなものでもなかった。誰でも予約できるシステムの問題点を指摘した記事の公益性があり、抗議は筋違いだ。」と書いている。お試しで何人が申し込み、キャンセルしたかは知らないが、希望者の接種機会は奪っていなくても、接種予約機会は明らかに奪ったと思う。