月刊ライフビジョン | off Duty

コロナ上陸13カ月目

曽野緋暮子

 感染症対策をしっかりしているお店なら大丈夫と言う友人もいるが、なかなかランチに足が向かない。でもそろそろ、対面でお喋りしたい気持ちもむくむくと沸き起こってきた。東京オリンピック聖火リレーとGW前後の人の移動でコロナが再拡大するような気もして4月上旬、ちょっとした隙間狙いで友人M子とのランチを計画した。近くにも感染症対策をしているお店が多くあるようだが、人目を気にしてランチするのも嫌なので、外ランチをすることにした。 

 「久しぶりに外の空気を思いっきり味わいたい、でも、山はダメよ。」と言うM子のリクエストに応えて、菜の花畑でランチすることにした。お弁当は彼女が、私はドリップコーヒーとお茶を準備した。当日は快晴、菜の花のあぜ道をたらたらと歩くのは気持ちが良い。棕櫚の葉(ビニール製?)の日よけの下に木の椅子とテーブルがセットしてあった。横並びでも飛沫は防げないとニュースで言っていたが、M子と横並びで座る。平日にも関わらず2~3人ずつのグループで間隔を空けた席は満席。駐車場にも次々と車が入ってくる。

 ランチに行くことを思えば安いからと言って用意してくれた豪勢なお花見弁当を前にして、1年以上会っていないので「黙食」と言う訳にはいかず、お喋りを堪能した。食後のコーヒーの後はもちろん、マスクをしてのお喋り。「久しぶりにいっぱいしゃべったね~。」と満足感いっぱいで解散した。

 楽しかった菜の花ランチの写真を数人にLINEで送ると、元上司S氏から「外ランチしたい。」とLINEが来た。S氏は現役時代からグループでトレッキングをする気さくな仲間だ。同席したい仲間のリクエストもついていたが今の時期、例え外ランチでも4人以下でなければまずい。先日ランチしたばかりのM子と相談して人選し、同じ菜の花畑を会場とした。当日、菜の花は終わって全て刈り取られていたが、隣接した畑で色とりどりのポピーが五分咲きだった。癒されたなあ。

 参加予定四人目のY子は同居義母のグループホーム入居が急遽決まり、ドタキャンとなった。先日と同じ場所でお弁当を広げた。S氏はいつものように愛妻弁当だ。数年前、脳梗塞から復帰したS氏は食事にとても気を使われていて、出かけるときは愛妻弁当が定番だ。

 S氏のフットワークは79才とは思えない。月曜日太極拳、火、水、土曜日はテニス。家庭菜園にも熱心で野菜はほぼ自家調達。たまに早起きして釣りにも行かれるとのことで、この日のお弁当には昨日釣ったサヨリの塩焼きが入っていた。ボケ防止で確定申告はe-taxを止めて役所まで歩いて用紙を取りに行き、帰宅後手書きで申告書を作成し、また歩いて役所に提出に行くのだ。定年後の日常をどう過ごすかによって見た目、体力、知力にどんどん個人差がつく。自戒と反省が押し寄せてくる!

 そんなこんなでちょっとのんびりした気になっていたら瞬く間に、コロナが急拡大してきた。地元でも少数ではあるが、感染者が連日発表されるようになった。昨日、定期検診で生活圏内である隣の県に行った。昼頃駅前を通りかかると老若男女の長蛇の列ができていた。無料PCR検査ができるテントが設置されていたのだ。GWにどうしても出かけなければいけない人もいるのだろう。「陰性証明」があればちょっとだけ安心だろうな。私は陽性が判明して2週間ホテルに監禁されることが怖いので、テント前を素通りした。

 やっぱりコロナは手強いなあ! 行政の力の差なのか、私にはまだ高齢者ワクチン接種のクーポンが届かない。本当に7月末までに2回接種ができるのかなあ? オリンピック関係者に横取りされるのは嫌だなぁ。(笑)