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現金主体取引にもコロナ効果が-1

おかぼん

 かけ声だけで遅々として進まなかった働き方改革が、とんだコロナ効果で進み始めたように、なかなか変わらなかった現金主体の取引が、とんだ銀行の手数料値上げ効果で一気に変わりそうな気配だ。

 マイナス金利が続く中にあって何とか利益を得ようと、今年までに3大メガバンクの両替手数料が11枚以上有料化で足並みが揃った。その両替も小銭の両替(例えば500円玉を50円玉に両替)などは両替機が対応せず、わざわざ窓口に並んでとなる。

 そのため、今まで現金なら手数料なし、ということでクレジットカードや電子マネーの導入に及び腰だった店舗も、漸く重い腰を上げて導入に踏み切るところが出てきた。今後、手数料の値上げなどが行われたりすると、その流れはより一層加速することであろう。

 もっとも工夫すれば手数料がかからないようにすることはできる。例えば、1万円を両替するときに、1万円札で入金して、9,999円と1円に分けて出金すれば、結果として両替と同じ効果が得られる。私の利用する理髪店などは取引量がそれほどでもないので、そこまではしないまでも、買い物のときなどになるべく釣り銭をもらうようにして対応しているとのことだった。

 両替に手数料がいるのと同様、大量に硬貨を持ち込んでも手数料が発生する。こちらは大量硬貨取扱手数料などと呼称されている。これには寺や神社がお賽銭の入金に困っている。もちろん、ATMなどで何回にも分けて入金すれば無料だが現実的ではない。また、お賽銭などに釣り銭はなじまない。御朱印料に釣り銭もマナーに反すると言われるが、百円玉が大量に貯まってもその入金に困るというのが実態だ。

 2018年1月に「ふしぎな初夢」と題して、お賽銭を電子マネーで受け付ける賽銭箱が登場することを書いたが、その普及も今後は正夢になるかもしれない。少なくとも拝観料やご祈願の初穂料などは、クレジットカードや電子マネーでの支払いが進むであろう。

 今年の後半には新しい500円玉が発行されるが、現金を取り巻く環境は今までとは大きく変わりつつある。電子マネーの普及で小学生の中には釣り銭がわからない子供もいると聞く。新紙幣の発行される3年後は果たしてどんな時代になっていることだろう。