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決断できない自民政治のままで良いのか

おかぼん

 筆者は前号で、この年末年始が恐ろしいことになると予言したが、まさにその通りになってきた。GoToの即時停止と緊急事態宣言発令をしなかったツケがこのざまである。まさしく恐るべき事態である。

 さすがに「Go To Travel」は中断したが、それも年末28日からであり遅きに失する。そもそも 「中断した」と言っても元に戻しただけで、何も新たな策を出したわけではない。やることと言えば国民へのかけ声だけで、それさえ首相自ら三密会食をして反故にするという異常事態である。全く、相当な怠慢政府である。

 12月31日の朝日新聞1面には、「都の医療『破綻の可能性』」の見出しが踊る。事ここに及んで漸く、都知事も政府に緊急事態宣言の要請を検討するという。一体何人の犠牲者を出さなければ、緊急事態宣言を出せないのか。呆れてものが言えない。緊急事態宣言を出せば、経済に打撃であることはよく理解できる。しかし経済は一体何のためにあるのか。国民のためではないか。コロナの犠牲者が出ても経済を優先すべきという理屈は、身近な例で言えば、「ブラックと言われても利益が出ていればよい」と言う理屈と全く同じである。

 おそらく年末年始は医療機関も休みが続くので、見かけ上の感染者増加は抑えられるであろう。問題は仕事始めからの数週間である。これから受験シーズンに入る。果たして入学試験は正常に行えるのであろうか。私は非常に危機感をもっている。

 ところでこのような「決断できない政府」というのは、遠くない将来起こると予想される大地震に対しても同様であろう。首都圏直下型地震は今後30年で70%、南海トラフ地震も同じく70~80%で起こると予想されている。コロナに対して何ら効果的施策を打ち出せない政府に、果たして何ができるのであろうか。

 ここ最近の震災を見ても「想定外であった」として、被害が生じてから後手後手に対策を打っているのが何よりの証左である。津波の想定を甘く見た結果として原発事故が起こったのはその最たる例で、これについては今更述べる必要もないであろう。

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 さて、今年のカレンダーを見ていただきたい。7、8月と10月の祝日は正しく印刷されているだろうか。東京五輪が延期になったことで、予め予期されていたとはいえ、大方のカレンダー業者が印刷を終えた11月27日になって、五輪祝日移動法を成立させ祝日を変更した。

 まだコロナ終息が見えない中、もともとの想定規模で開催されると正気で思っているのだろうか。想像するにワクチンが出回って開催されたとしても、この期に及んでそれは不可能であろう。そもそも開催さえ危ぶまれているのである。また、仮にそうであっても、余りに遅い対応ではないだろうか。これが現在の、長年政権を担ってきた政府の「スピード感」である。

 この危機感、緊張感に欠けた政府には全く失望するのみである。それでも政権を維持するというなら新年早々、冷水で顔を洗って出直してもらいたいものである。