月刊ライフビジョン | off Duty

ばぁばにも定年を

曽野緋暮子

 数年前から季節の変わり目に咳が出ることが多くなった。一旦咳き込むとなかなか止まらず、腹筋が割れてくるほど(笑)。今回は内科、呼吸器科と受診して結局、耳鼻咽喉科での投薬が効くとわかったが、毎回1か月ぐらい悩まされる。

 昨年、高齢者が肺炎球菌の予防接種を受けると行政の補助が出ると通知があった。私の咳と肺炎球菌が関係あるかはわからないが、予防接種を受けた。もう何十年も受けたことがないので皮下注射は新鮮な感覚だった。赤く腫れ上がり、この接種を受けたのは間違いかなと不安だったが、治まった。

 12月下旬、少し咳が出始めた。早めにいつもの耳鼻咽喉科を受診した。「熱あるんじゃないの?」と医師。結果は37.7度。「インフルエンザの検査していいですか?」「いや~A型、出ました」と医師の宣言と同時に、看護師に隔離部屋に案内された。

 医師から薬の説明を受ける。「ちょっと高いですが、1回の服用で熱が下がるもの、1日2回の服用で熱が下がるもの、そして5日間服用するタミフル、どれにしますか?」ちょうど冬休みで娘が孫を連れて帰省している。私は即座に、1回の服用で熱が下がる薬を選んだ。隔離部屋で薬局の到着を待つこと暫し、マスクをした薬剤師さん登場。深呼吸の後、粉末状の薬を吸い込んだ。この薬は価格が高いだけでなく、肺活量が少ないお年寄りや子どもにはちょっと向かないかな~。「熱が下がっても3日間は隔離ですよ。」と注意を受けて帰途についた。

 インフルエンザに罹ったと言うと「部屋から出ないで」と娘の宣告。その夜から念のため5日間の隔離部屋暮らしだった。熱がすぐ下がったのでたっぷり睡眠時間が取れて、良かったといえば良かった。

 ところが、私が隔離部屋から復帰した翌日、今度は夫がインフルエンザ発症。休日当番医から1日2回服用の薬を貰い、私と入れ替えで隔離部屋に。年末に向けて業者にお願いしていた種々案件が自動的に私の仕事になり、病上がりの私は休むことなくフル回転の日々。

 夫が隔離部屋から出てきた日、「熱がある」と今度は娘。近くの医院でインフルエンザを確認。0歳児の孫に授乳している娘は副作用が少ない5日間服用の薬を貰った。孫たちがインフルエンザを発症したら大変と言うことで、娘はすぐ隔離部屋に。

 ここから私の、半端ないフル・フル回転の日々が始まった。「ウイルス除去のスプレー購入、各部屋にクレペリン設置、家の中でも常にマスク」等々、娘からLINEで次々と指示が入る。病み上がりなので(?)動きが緩慢な夫に腹を立てながらも、私が動くしかない。人数が増えただけ増える家事に加えて慣れない孫守! 家の中でも走り回りおもちゃを、絵本を、散らかし放題の孫たちに、「片づけなさい!さっさと食べなさい!」と叱るのもパワーが要る。おまけに0歳児の、夜間3時間置きのミルクにはほとほと草臥れた。”お母さん”って、高齢者には務まらない!!!

 何だかんだでとにかく動いているうち、何とか娘も5日間で完治。本当に、本当にホッとした。

 すご~く頑張って孫守した、にもかかわらず「インフルエンザを持ち込んだのはお母さんだから。」と容赦ない娘だが、元旦に親子そろって元気に帰ってくれてホッとした。子供たちがインフルエンザに罹らなかったことが本当にありがたかった!!!

 日頃健康に注力しているつもりだったが、ケガだけでなく病気だって、思いがけない時に罹る時は罹るものなんだと痛感した。

 そんな訳で大掃除はおろか、お節料理もお雑煮もない2020年の幕開けとなった。1月14日でサポートが切れるWindows7の対応も年越しになってしまった。病気するもんじゃないなあ~。あとは肺炎球菌予防接種が役立ちますように!!!