みんなのコラム

第83回自由美術展に入選しました!

POOH

 9月27日、入選通知が届きました。二十数年前に自由美術協会会員を退会してから久々に一般公募で出品しました。
 定年退職後、美大で学んだことがどこまで通用するのか腕試しの意味もありますが、若い頃、自由美術に学ばせてもらった恩返しの気持ちもありました。

 自由美術という団体の歴史は古く戦前にさかのぼります。
 敗戦後はピカソなど抽象絵画ブームの中で、自由美術のアーテイストたちは「批判的リアリズム」のポリシーで創作活動を続けます。いま生きている時代や社会を批判的に捉えながら、単なる「批判のための批判」ではなく、批判精神の根幹に存在する人間性に裏打ちされた「リアリズム」を探究して作品を発表しています。
 それがこの美術団体の潮流にあると感じているのですが、残念ながら最近はそれが薄れて、作品を観る限り、感覚的で情緒的な世界に逃げ込んでいるように見受けます。
「批判的リアリズム」は、ジャーナリズムの精神に通じていると思います。

 いま、地方公共団体が主催する芸術祭への助成金の支出を取り消すという、国家権力による「実質的な検閲」が発生し、この国の芸術文化が、表現の自由が、危機に晒されています。
 私は改めて、「批判的リアリズム」探究の精神で、生涯絵を描き続けたいと心に刻んでおります。

「甘酸辛苦」連載中の「絵を描く人」


第83回自由美術 2019年10月02日から10月14日

午前10時から午後6時 最終日は午後3時閉会

国立新美術館/港区六本木  展示室は1A・1B・2A・2B

アーチスト・トーク  10月12日(土)13:30-15:00