近頃問題となっている「あおり運転」の影響で、ドライブレコーダーの売れ行きが絶好調とのことです。ドライブレコーダーとは、自動車の走行中に前面の映像をカメラで記録する装置。先日の暴力事件以後は、前面だけでなく、後ろや室内まで映すことができるタイプがよく売れているようです。
さらには、事故の衝撃を感知して、その前後の映像やGPS位置情報を記録したり、エンジンのかかっていない駐車中の監視をしたり、そして、追突しそうになった時の警告まで行ってくれるような高機能タイプも登場し、値段もピンキリ、高額なものは、数万円の商品となっています。
高額な商品ではありますが、持ち主のドライバーにとっての理想としては、事故やトラブルに巻き込まれて、映像を確認するような必要が生じず、淡々と記録をし続けるだけの無用の長物となることです。
ドライブレコーダーと同じように、無用の長物となってほしいものに保険という制度もあります。自動車事故や火災、そして手術、入院といった目に合うことなく、ただただ保険料を収め続けているという無用の長物状態こそが、当人にとっては理想といえるでしょう。
その反対に、ゴルフのホールインワン保険のように、嬉しいはずのことがリスクとなってしまう時に、そのリスクに備える制度があります。そのひとつが年金です。
こちらは、無駄とならないよう、長生きしてしっかりと受給し続けたいものです。
政府は、現行70歳まで繰り下げ受給が選択できる年金制度を、70歳超まで可能となるようにする変更を検討しています。現行の繰り下げ受給を選択すると、70歳から受給する場合、65歳受給の42%増の年金を生涯受け取ることができます。その割合で75歳からの受給を検討するとなると、84%増となることが期待されています。
しかし、実際には「早くもらっておかないと、早死にしたら損」、「お金を使うのは元気なうち」という声も多く、繰り下げ受給を選択する人は、3%もいないようです。
繰り上げ受給した方が得なのか、繰り下げ受給した方が得なのか、という問いに対しては、対象者の受給予定金額、生活費、貯蓄や配偶者、そして何より健康など様々な要因が影響するので、一概に判断することは難しいようです。しかし、「繰り下げて後悔するのは墓の中、繰り上げて後悔するのは現世」という話を聞くと、なるほどと感じてしまいます。
退職金や企業年金が十分に望めず不安だけれど、体は元気で当面は雇用延長なり、何らかの仕事はやっていけそうだという場合は、基礎年金か厚生年金のどちらか、あるいは両方を繰り下げ受給するということを検討してみる価値はありそうです。