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ルールを考え直してみる

渡邊隆之

 ある朝、TVの情報番組を見ていたらこんなニュースを流していた。「サッカーの本田圭祐選手のツイッター『ぼくが10000円払ってサッカー教えます。』」本田選手はサッカーではとても著名な選手。普通なら高額の費用を払ってでも教わりたいと思う人が沢山いるはずである。でも、教える人がなんで「お金を払って」なんだろう?番組内では経緯につき、こう説明していた。

 教育熱心な本田選手が堀江貴文氏に「誰か面白い方いませんか」と話したところ、若手で有名な編集者・起業家と会食する機会を得、その場で出たアイデアだそうだ。1時間いくらお金をもらうとするととりあえずその時間は仕事を頑張る。しかし、そのあとは見届けようとしなくなる。反対に、自分が身銭を切るならば自分自身が一生懸命になるし相手の経過を最後まで見届けようとするのでは?との仮説から今回試みたのだそうだ。貧富の差が拡大し教育の機会を得られない人も増えているのでその状況を是正したいとの思いもあるようである。ただ、このツイッターには条件がついていて「本気でワールドカップを優勝したいという人に限り、そして僕が教えたい人を好きに選びます!」なのだそうだ。

 このツイッターに対し、現役のサッカー日本代表選手までもが「僕も教わりたいです!」と反応していたことには思わず笑ってしまった。

 最近は新聞やTVで、経団連会長やトヨタの社長の「終身雇用維持は難しい」とか、金融庁が「年金だけでなく老後の生活費は自力で蓄えておくように」とかの報道に暗い気持ちになっている人も多い。その反面、呑気な与党の政治家の「女性は3人くらい子供を産んでほしい」との発言に目くじらを立てたりしている。苦しい家計のやりくりの中で、諦めていることも多いようである。

 確かに、何かを始めるには通常初期投資が必要である。資金がないときは、①自分でお金を貯めるか②銀行等から融資してもらうか③クラウドファンディング等で趣旨に賛同する方から出資を募るか、などの方法がある。熱意のある方へのサポートとしては、本田選手の手法は面白い。

 諦めなければならないのは、「いまの制度を前提にして」である。であれば、自分なりに他人に迷惑にならない範囲で新しいルールを作って試してみればよい。

 筆者の中で、自分の人生の中で大きく考え方が変わったポイントが2つある。ひとつは、東日本大震災、もう一つは肉親の死である。東日本大震災では、いつ平凡な日常が非常事態に変わるかもしれない、だったら、やりたいことをやれるうちにやってしまおう!そう思いブラックな職場を辞めた。また、10年前に母が他界したが、棺の中にイミテーションの硬貨が納められているのを見たときである。以前は、三途の川を渡るのに必要な六文銭を納めていたようだが、いまは「イミテーション」の硬貨である!もちろん生きているうちは最低限生活に必要なお金について考えなければいけないが、過度に恐れる必要はないのではないか。

 生きていることの醍醐味は、自分の得意なことで周りの人たちや次の世代の人たちが喜んでくれるようメッセージを発信できること。自分は残りの時間で何を伝えていけるのだろう。流石に、本田選手のように身銭を切ってまではできないけれど。日々自分なりの学びを続けていきたいと思います。