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扱いの“公平さ”について

音無裕作

 普段まじめな子が100点を取るのと、そうでない子が100点を取るのとでは、妙に扱いが違ったりするものです。どちらの子も、複雑な気持ちでいるのではないでしょうか。

 扱いが違うといえば、高校野球は甲子園球場で春と夏とに大きな全国大会が行われますが、人によっては夏の大会(全国高等学校野球選手権大会)より春の大会(選抜高等学校野球大会)を軽視されることがあります。「ああ、しょせん選抜だから選ばれりゃ出られるんでしょ」と、まるでくじにでも当たったかのような言い方を聞いたことがあります。

 現実には、基本的に各県大会で優勝か準優勝などの成績を収め、さらに地方大会で優勝か準優勝などの結果を残すことによって「選抜」されるのです。「優勝していなくても出られる」ということは、「例え県大会で優勝しても出られない」ともいうことで、一般選考枠も夏の大会約50校と比べ約30校と、狭き門となっています。それにもかかわらず、とかく春の大会を軽視して、「甲子園野球といえば夏でしょう」という認識の方は少なくない気がします。もっとも、主催する新聞社の宣伝力の差という話なのかもしれませんが。

 サッカーのワールドカップはもちろん、世界の大会で日本人選手が活躍するニュースはなんとなく嬉しくなるものですが、ここにも扱いの違いを感じます。テニスやフィギアスケート競技などでは、シングルスの結果は連日大きく扱われる一方、テニスのダブルスやスケートのペア・ダンスに関しては、あまり大きく報じられない気がします。車いすテニスでも、先月行われた全仏オープンを始め日本の選手たちが「半端ない」活躍をしているというのに、これまたあまり大きな見出しにはなっていないように感じます。ナチスの3S政策(スポーツ・スクリーン・セックス=大衆愚民政策)を引くまでもなく、マスメディアが大衆を扇動するのは感心しませんが、各界各人の活躍には公平な脚光をあてて、文化振興の花を咲かせてくれること期待しています。

 この記事が出るころは、サッカーのワールドカップや全英オープンテニスの真っ最中。いろいろな活躍にスポットを当てワクワクする報道を、お願いしますよッ。