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岸田氏は危機の宰相たりうるか

音無祐作

 日本沈没というドラマが人気だそうです。残念ながら私は見逃してしまいましたが、かつて見た映画「日本沈没」では、地殻変動による日本沈没の危機に立ち向かう科学者や閣僚、官僚の活躍を描く内容だったように記憶しています。(違っていたらごめんなさい)

 日本は今、国債という名の借金で沈没しかかっていると警告する声を聞くことがあります。超少子高齢化や技術革新の遅れ、産業構造の変化への対応の遅れなど、船体には大きな穴が開いたまま、新型コロナ感染症という大波に襲われて、この先の航行が危ぶまれているのです。

 はたして此度の政権に、日本を何とかしなくてはという危機意識がどの程度あるかは伺い知ることはできませんが、危機の宰相と言われた池田勇人氏の流れをくむ派閥として、行く先々に飢える国民の出ないような国づくりを考えていただきたいものです。

 先の衆議院選挙では与党自由民主党が、議席を減らしたとはいえ絶対安定多数とやらを確保して、結果的には与党の「圧勝」と言われています。為政者に汚職まがいのことがあろうと、内輪の仲良しばかりに便宜を図ろうと、この国の民衆は長いものに巻かれて粛々、従順に従うものだと、権力の向こう側にいるワルいヤツラも安心していることでしょう。

 過去には、消費増税など痛みを伴うような改革を政権が口にすると支持率が下がると敬遠し、受け狙いばかりの政策を繰り返した結果、国の財政がどんどん弱体化してきました。

 自民党に対しては普段文句ばかりなので今更虫が良いかもしれませんが、盤石な地盤を手に入れている今であればこそ、多少嫌われても「この国の将来を立て直す」という気概を持って、きちんと仕事をしてくれよ!と言いたいのです。