月刊ライフビジョン | ビジネスフロント

IMAGIN 2021

音無祐作

 日本が太平洋の平和を乱したのは75年前の12月8日。それから35年後の12月8日、ある人物が凶弾に倒れました。ジョン・レノン。生涯をかけ、戦争や差別への警鐘を鳴らし、all you needs is love、愛と平和を訴えました。今も彼の歌や言葉は、愛と平和を希求する人たちには、バイブルといってもいい存在です。しかしその実現は難しいもので、そのジョンですら、たった4人の平和を維持することができませんでした。

 彼らの意思を生み出したはずの彼の国は、今や差別と分断に満ちあふれ、迷走しているように感じられます。遠回りかもしれませんが、相手との徹底的な対話と理解、その努力こそが最善の道のりのはずです。いわんや、相手よりも強い矛や盾を所持することで平和を実現できるというのは、一方の視点だけの妄想でしょう。

 2020年、人類はウイルスという共通の敵によって、それまでの平和な営みをかき乱されました。環境問題や差別、貧困や格差など、様々な共通課題が浮き彫りとなりました。それらの課題を解決し、愛と平和の世界を実現するのに必要なのは、ミサイルや防衛システム、領土問題や経済競争でもないはずです。互いに思いやり、相手への理解を深める努力なのではないでしょうか。

 想像しましょう。人新世に警告を与えるように次々と現れたウイルスや気候変動、そして差別や貧困に対し、人類が密な協調関係で平和な世の中を実現していく2021年を。