論 考

マルタの鷹、日本のサクラ

 2017年10月、マルタ政府中枢の不正疑惑を追及していたダフネ・カルアナガリチア記者がマイカーに仕掛けられた爆弾で殺害された。それから2年、ついにムスカット首相が辞任を表明した。

 ダシール・ハメットの『マルタの鷹』という探偵小説が出版されたのは1930年、翌年には映画化、さらに36年と41年にも映画化された。41年の映画はハンフリー・ボガード主演である。

 マルタの鷹というのは鷹の銅像で、これが大変なお宝であって、争奪を巡って犯罪が発生する。マルタは、かのパナマ文書でも有名である。物語としては面白いが、現実の話となると不愉快になる。

 こちらの首相もすでに将棋は詰まっている。ちょっと待てと、王将をポケットへ入れたようなものだ。参議院で予算委員会を開催するよう委員が要請しているのに自民党は開催しない。退屈な手練手管が繰り出される政府与党にはうんざりする。