フィナンシャルタイムズのライオネル・バーバー編集長がBrexit問題について書いた記事が興味深い。
一言でいえば、ジョンソン氏は「欲ボケ」だという。EU離脱して英国経済を盛り立てようとしているが、英国貿易の44%を占めるEUとの貿易が有利になるわけはない。
なによりも国内にアイルランド問題を抱え、さらにスコットランドはイギリスから独立の是非を問う住民投票をやろうとしている。内部分裂の危険性を冒すことを深く危惧している。
EU官僚の間では、ジョンソン氏は悪賢く、抜け目がないという評価が支配的である。つまり、信用されていない。
さらに総選挙が内部分裂に拍車をかけることも危惧している。
思うに、ジョンソン氏の頭の中には1982年に72日間にわたったフォークランド紛争での勝利によって、沈滞していたサッチャー首相の人気が一挙に盛り上がった「成功体験」があるのではないか。
今回はもちろん武力衝突ではないが、総選挙に勝利するためには、具体的な問題は別として、Brexitがいかに誇らしいものであるかを吹聴するだろう。2016年の国民投票もそうであったが、今回総選挙は、それ以上に国民意識に働きかけようとする可能性が高い。バーバー編集長の危惧がもっともだと思われる。
選挙結果が、EU離脱に賛成反対のいずれであっても他を圧倒する結果になるのだろうか。