論 考

マッカーシー流の歴史が繰り返す!

 1950年から54年、アメリカは、マッカーシー旋風といわれた時期で、上院議員マッカーシーによって、議会、政府、軍などがきりきり舞いした。

 社会に、反共ヒステリーが巻き起こった。旋風の特徴は、組織だったものではなく、マッカーシー上院議員1人が議会を中心にかき回した感じが強い。

 議会での彼の発言をみると、まことに品がなく、なんといっても最大の特徴は「中身」がない。嘘だらけである。

 つねに爆弾発言を演出するのだが、主張にはまるで具体性がない。ただ反共のために闘わねばならないという気風に便乗して、政府内に共産党員・スパイがいることによって発生するであろう恐怖感や嫌悪感を煽るだけである。

 つまり、ひたすら情緒的な発言を駆使することによって、見えざる敵と闘うポーズをとる。そこに発生するのは疑心暗鬼である。当時は朝鮮戦争と重なっており、日本でかつてあった、愛国心がないと決めつけて非国民呼ばわりしたのともよく似ている。つまり、非国民狩りをしたのであった。

 マッカーシー的弁論技術は、嘘の多用、証拠のないことをあたかも真実のごとくに振り回す。後からみれば、なぜこんな幼稚で粗末な弁論に人々が乗せられたのか不思議である。

 トランプ流の国民間に「壁」を作る手練手管と酷似している。来年の大統領選にむけてキャンペーンが本格化しているが、このまま進めば、歴史は繰り返すことになるかもしれない。