論 考

凧なる政治家

 世界は動く。戦火は止まず、何が大戦争の引き金になるか予想もつかない。せめて人知を集めて、誰もが精一杯に生を全うできるように、社会生活に貢献するのが政治家の勤めである。これ、社会通念であろう。

 わが政治家諸君の選挙に対する熱心は見上げたものだ。その熱心ほどに政治に打ち込んでくれるならば、「政治なんて、フンッ」というような発言をするのが恥ずかしくなるのだが、なかなかそうもいかない。

 相次ぐ在庫一掃閣僚の辞任で、ご用提灯以外の新聞は「任命責任、責任痛感、心からのお詫び」など聞き飽きたと書く。

 しかり。聞き飽きたのではあるが、そもそも任命責任者が忖度官僚総出で、政治倫理上間違いなく腹切りものの事態を逃げおおせているのだから、言葉に性根が入っていないのは当たり前である。

 権力というものは、手にしたときから腐るという警句は、決して厳しすぎはしない。これを政治家に期待するほうが無理だ。凧を上げるのは有権者だが、糸の切れた凧はどこへ行くかわかったものではない。