論 考

被災処理と計画の手順

 「捨てる物ばかりで運び出しが終わらない」という長野市の水害被災者の声が朝日新聞に出ていた。その通りだと拝察する。

 2011年5月に宮古で津波後の後始末のお手伝いをしたが、重たい泥だらけの室内は、何をどうすればよいのか皆目わからなかった。とにかく、衣類を1枚いちまい、物を1つひとつ取り上げては片付けていく。

 なんとか物をどけて、畳をどけて室内を洗浄する。重たい泥は簡単には流れない。長時間かけて板の間がそれらしく見えたとき、ホッと一息出る。

 津波が残していった物も捨てるしかない。在った物が消えるのも辛いが、ゴミでしかない物が残っているのもやりきれない。

 気がかりは、報道では、今後どうするのかという対策らしきものが全然出てこない。早ければ来年も同じような運命が待ち構えているかもしれない。いまは、まだ被災事情の全体像が把握されていないのだろうが、どんな具合に事態の処理と今後の計画を進めようとしているのか、その手順が気がかりだ。

 その手順が明確になれば、組織だった支援対策が組めるのではないか。メディアにはその取材をきちんとやってもらいたい。