論 考

借金漬けの循環

 アメリカの学費ローンが総額1.6兆ドルでGDPの7%に相当するらしい。最大の個人ローンは住宅ローンで、それに次ぐ大きさである。私大学生が75%を占めている。1人当たりでは日本円にして400万円程度になる。

 2012年ごろから返済が滞るケースが増え、遅滞率が上昇し高止まりしている。学生ローンの大きさについて借金漬けを懸念する声があるものの、問題解決に着手する動きはほとんどない。

 1960年代に、航空会社のコピー「Fly now, Pay later」というのがあった。アメリカ人は借金してでも消費すると言われるが、なかなか大変な事情にある。

 メリトクラシー(功利主義)大国である。おカネがあればなんでもできる。おカネを稼ぐためにはなんでもやる。割り切ってしまえばどうってことはないのかもしれないが、殺伐とした気風は否定できない。

 トランプが大統領に就任したのも、メリトクラシー(を原因と考えれば)の結果の1つだ。その結果が、世界中をカオス状態にするという「効果」をもたらしている。

 借金漬けで高学歴資格を獲得した人が、次代のトランプに育たないことを願うのみだ。そういえば「太ったブタではなく、やせたソクラテスになれ」という言葉がありました。