論 考

世界の火薬庫

 サウジ石油施設の爆破が、サウジ(米)側の発表によると、イラン国内からの攻撃で、イエメンのフーシ派は、イランの替わりを演じているという。

 それを前提して考えてみる。

 トランプ氏が大統領就任して直ちにサウジを訪問し、そしてイラン核合意から離脱した。全面的にサウジに肩入れした。

 トランプ氏が、イランの軍事的力量や経済制裁に耐える力を甘く見ていたということが、石油施設攻撃で露見した。

 イランはイエメン内のフーシ派をはじめ、イラク、シリア、レバノン内に軍事勢力を持っている。いよいよとなれば、中東全域を巻き込んだ戦闘になるぞという警鐘を鳴らしたとみられる。

 また、経済制裁を続けるなら、こちらにも手があるというデモンストレーションだとすれば、背水の陣の決意を見せたのである。

 トランプ流は、世界最大の軍事力を背景に、経済制裁で締め上げて、降参するのを待つというスタンスだが、この文脈だけでは問題は解決しない。

 中東はずっと「世界の火薬庫」といわれてきた。大統領になるほどの人物だから、トランプ氏は単なる道化師ではあるまいが、思慮分別のないことは、誰でも認めるだろう。

 アメリカ・ファーストだけで大統領2期目も獲得できると考えているのだとすれば、中東問題がその甘い見通しを潰す鍵になるかもしれない。

 そんなことより、もっと怖いのは「世界の火薬庫」が暴発することだ。