論 考

誠意を込めて応対せよ

 16日、国際原子力機関IAEAで、韓国代表が、福島原発汚染水処理方法について深刻な懸念を表明した。

 これに対して日本代表が、決定したのではなく検討中だと回答したのはともかくとして、記者会見で官房長官の菅氏が、「(韓国発言は)事実関係や科学的根拠に基づかず、いわれのない風評被害を及ぼしかねない。極めて遺憾だ」と語ったのは出来損ないの官僚答弁だ。

 100万トン溜まっている汚染水の処理に困っているのは事実であり、先日は当時の環境大臣の原田氏が「海洋放出しかない」と発言して騒動になった。

 事実関係をいうなら閣僚が堂々と私見を発表したのであり、風評被害の根源は日本政府にある。目下の韓国との関係を考えれば、懇切丁寧に説明するのが紳士たるものの取るべき態度である。

 五輪誘致の際、安倍氏が「アンダー コントロール」とやったのも忘れられない。ことは韓国だけの問題ではない。諸外国に日本政府が信頼できないという印象を与えることを危惧する。

 遺憾という言葉の意味がわかっていないのはまことに遺憾だ。