民主政治は、絶対的善が存在しないことを前提している。
政治家が自分の信念のために闘うのは当然であるが、その信念たるものが絶対的ではなく、相対的だということをいつも念頭に置いて行動するのが民主政治の政治家である。
政治家の態度は、なによりも話し合いを尊重する。それは自分と異なる意見を理解しようという寛容であり、それが相互に実現したとき、妥協という果実が得られる。もちろん、AとBを足して2で割るというのではない。
寛容とは別の面からみれば忍耐である。昨今、寛容と忍耐という政治家倫理を備えている政治家が見当たらない。まことに困る。
報道される内外の政治家の発言は、いかにも見苦しい。いかに敵を叩くかのみに集中しているからである。
国民の政治的無関心と政治家による衆愚政治は、タマゴとニワトリみたいな関係である。苦々しいが、これが、わたしたちが生活している世界だ。