論 考

英国議会人の見識やいかに?

 3日再開される英国議会で、野党提出議案の「10月19日までにEU離脱協定案を議会で承認できない場合、2020年1月31日までの離脱延期を求める」が可決されたら、ジョンソン首相は「解散して、10月14日の下院総選挙をおこなう」という提案をするらしい。

 ジョンソン流は「10月31日離脱を動かさない」ことにある。議会審議がまとまらず、「合意なし離脱」になっても、とにかく離脱するという戦略だ。

 議会議決を前提とすれば、メイ前首相と同じ道を辿る。今度は、とにかく離脱してしまえば、混乱があろうとも、次の段階に進めるという考えらしい。

 ただ、何もせずに突っ走れば、ジョンソン氏が全責任をかぶらねばならない。総選挙でクビがつながれば、理屈上すべての責任は国民意思にある。

 ジョンソン氏の保守党が敗退した場合、有力な首相候補は野党労働党のコービン氏であるが、国民的人気がないとされている。

 うまくいけば、マイナスの! コービン人気を利用して、保守党の政権掌握(自身の継投)とEU離脱をやってしまうという、まさに中央突破作戦である。

 さっそく、労働党の元首相ブレア氏が、「その手に乗るな」と主張しているが、議会で決まらなくてもジョンソン氏は「合意なし離脱」をやるつもりだから、「合意なし離脱反対」や「離脱反対」の人々の意志は実らない。

 先日紹介したフィナンシャルタイムズ社説はこれを見越して、議会の熟議の伝統をジョンソン流の議会操縦術に屈してはならない。まず、ジョンソン首相を排除せよと主張したわけだ。