論 考

世界経済の日本化!

 世界経済のジャパンナイゼーション(日本化)という言葉が登場した。日本経済は30年近く、デフレといわれ、低成長を続けている。

 金融緩和の効果が出ない。世界の国債がざっと53兆ドル(5618兆円)、うち30%に相当する16兆ドル(1690兆円)が利回りゼロ%で、その半分を日本国債が占めている。

 政府・日銀が、金融緩和でインフレ率を2%にすると風呂敷を広げて8年になるが、それらしい兆しすら見えない。

 なぜか。実物経済(生産活動)が活発化しないからだ。生産活動のための資金が不足していれば金融緩和は効果的だが、この間、金融はじゃぶじゃぶを通り越して余っているが投資先がない。

 1990年代後半に企業の内部留保は130兆円であった。2017年度には446兆円になった。おカネを持っていても投資しない企業活動に対して、いくら金融緩和しても効果がでないのは当たり前だ。

 しかも、この20年間の日本の実質賃金は10%程度減少した。米欧は20~40%程度は上昇している。

 日本の場合、企業が一貫して賃金抑制策を推進したこと、雇用増加しても非正規社員中心であるから、これも賃金抑制だ。政府の規制緩和で非正規社員が大増加した。全体の賃金減少で消費活動を抑え込んだ。

 経済が人々の生活の質・量に貢献するという根本を忘れて、ひたすら株価の上下に一喜一憂するようなことを繰り返している。

 アベノミクスなる中身のない政策が失敗したことは隠しようがない。そして、世界経済がジャパンナイゼーションということになると、頼みの綱の輸出もぐらぐらするのは必然の成り行きである。

 金融緩和・経済成長至上主義の政策をやめて、国民生活にふさわしい生産活動を構築するように政策転換するしかない。