論 考

目には目薬、歯には歯ブラシ

 韓国が、安全保障にかかわる戦略物資の輸出管理の優遇対象から9月中に、日本を外すと発表した。

 これは、理屈上当然である。日本が、韓国を信頼できないとして先に措置をしたのであるから、相手もまた、こちらを信頼できないことによる措置をする。

 両国ともに頭を冷やさねばならない。

 外交は相対的なものだ。全面的に相手にすべての責任があるという立場を取るならば、一切の友好関係は成り立たない。

 安倍氏は世界中を飛び回っているが、外交力は極めて疑わしい。積極的外交とは、派手な立ち回りで手柄を立てるようなものではない。

 いま、多少日中関係が改善方向に向いたが、日本的外交は対米一辺倒で、日本と韓国(北朝鮮)・中国の関係にたいする構え方が、どう理屈をこねようと粗雑かつ稚拙である。

 戯画化すれば、子どもの「おらが一番」的精神状態に最大の原因がある。問題がこじれる場合は、どこから、どうしてこうなったのかという視点で、歴史を遡らねばならない。

 外交を感情的次元で取り扱うのは直ちに止めるべきだ。相手国の非をあげつらう限り、問題解決できない。

 「目には目を、歯には歯を」ではだめだ。「目には目薬、歯には歯ブラシ」と呟いて、一呼吸置くべし。

 せっかく、世界中を回って勉強! しているのだから、その知見を活かして、安倍氏が状況反転のリーダーシップを取るべし。