論 考

政治嫌いと闘う

 日本人は政治嫌いである。

 歴史的に考えると、1945年の敗戦まで、政治と関わることは厄介以外のなにごとでもなかった。

 鎌倉幕府以来、「泣く子と地頭には勝てぬ」という事情が脈々と続いた。だから庶民は政治を敬遠した。支配者もまた、「由らしむべし、知らしむべからず」で、衆愚的専制を続けた。

 これが敗戦後のデモクラシー制度によって天地逆転した。建前では、政治家・官僚は国民の召使となった。しかし、権力の味を知り尽くした連中が「心を入れ替える」なんてことは容易ではない。しかも、現実に権力行使する立場にいるのだから、国民の監視がなければ、かつての官主主義に戻る。

 国民の監視というのは人々がばらばらでは不可能である。そこに政党の活動が期待される理由があるが、政党や政治家が毅然として「草莽」に立脚するのは容易でないし、また、そのような政治的事情を眺めている庶民は、昔から続く政治嫌いへと流れやすい。

 制度がデモクラシーであっても中身が約束されるのではない。各人が政治を嫌う理由を直視して、それと闘わねばならない。理屈ははっきりしている。