論 考

二階さんが二階に上げられる?

 改憲のために議会審議の布石として、二階俊博幹事長を議長にという桜井氏の質問に答える形での荻生田幹事長代行発言が問題視されている。

 荻生田氏いわく、大島議長は調整型で、ここ一番リーダーシップが発揮できないという意味だ。

 議長が、与党の走り使いでないことは筋論である。安倍氏側近の荻生田氏が批判覚悟で観測気球を上げたとみられる。

 それを誘導したのが、ジャーナリストというより日本会議の桜井氏だから、各方面に対する示威運動である。かくして、相応の効果があっただろう。

 建前では、国会が三権のトップであり、議長はそのトップである。ただし、議長を生み出す力は与党にありだから、荻生田氏の発言は幹事長を飛び越えて安倍氏の意を代弁したともみられる。

 改憲こそが自民党の大目的、それに従わない奴は吹き飛ばすという恫喝と考えれば、少なくとも自民党内部で異議申し立てしにくい。参議院議員選挙結果が、本来の大勝利ではないがために、ここで緩んだタガを引き締めるという狙いもある。

 さらに下世話に考えると、議長ポストは国会議員としては「上がり」である。「二階さん、そろそろ上がってください」というサインともいえる。

 党内で二階議長論が沸けば、本人は受けざるをえない。受けたからには、調整型と悪口言われないように獅子奮迅でいかねばならない。

 本件もまた、安倍氏の長期政権が人事にあることをよく示している。