論 考

選挙活動、ご苦労様でした

 人間関係上、政治と野球の話はしないほうがよろしいという。前者は思想信条あり、後者は熱狂的なファンがいるから、たまたまご機嫌を損ねると危ないというわけだ。

 わたしはなじみのバーバーさんと政治の話もする。こちらから言い出したことはないが、あれやこれや話す。すべて初対面のタクシードライバーさんとは政治談議が多かった。よく勉強しておられるので感心したことも少なくない。

 いまは亡き居酒屋主人とは、質問されてしばしば政治談議をした。客がいないときなどは膝を乗り出してこられるわけで、こちらもおおいに勉強になった。

 大昔の少年時代、たしかに大人が政治の話をしているのを聞いた記憶はない。母親は必ず選挙で投票したが、誰に投票したか話さなかった。なにしろド田舎であり、政治といえば昔からの顔役がつながっているから、慎重にならざるを得なかったのだろう。

 そんな時代といまとはかなり違うはずだが、まだ、気軽に政治談議ができないということ1つを見ても、社会意識の底辺というものはじわっとしか動かない。人間関係が希薄な今日だから、なおさら変化が鈍い。

 今回の選挙から、どんな変化を発見できるか。選挙活動にかかわった友人たちのご苦労を思い、好結果が出てほしい。