論 考

独裁政治

 「独裁政治をしたい」と広言する政治家はいない。

 その点、トランプ氏は正直で、北朝鮮の金正恩氏の演説を国民が直立不動で聞くのを称賛し、米国においても、自分の話を同様の態度で聞いてもらいたいと語った。

 氏が幼稚なのか、精神的に問題があるのか、無法者なのかについての結論はまだ出ていないが、自分の考えが政治におけるαでありωであることに徹底してこだわっている事実からして、独裁者の資格は十分である。

 こちらの安倍氏は、議会で気に入らない質問には応えない。陣笠議員並みに野次も飛ばす。しかし、自分に対して飛ばされる野次には言論封殺だという見識で臨む。

 トランプ氏は、どこか漫画チックでとぼけたおかしみがあるが、安倍氏は漫画チックで、緩い直球勝負のごとき風情はあるもの、おかしみは全くない。まじめ腐ってトンチンカンな意見表明をする生意気な幼児みたいである。つまり幼児的独裁者である。

 ヒトラーやムッソリーニの演説を映像でみると、実に漫画チックである。漫画チックであるけれども、彼らがいかなる大事業! を成し遂げたかというと笑ってはいられない。

 「独裁政治は拒否する」という国民的見識が大切だ。