論 考

英国保守党党首選

 イギリス保守党党首の選挙戦が続いている。

 目下は、ボリス・ジョンソン氏がダントツであるが、世間では選挙戦に期待薄という雰囲気らしい。

 第一の理由は、氏がブレグジットに対する有効な手立てを出しえないという見方だ。もっとも、氏は「合意なき離脱」論で、何が起ころうと離脱するのだということに逃げ込む可能性が高い。それは円満に離脱するべきという人々には共感できない態度である。

 第二の理由は、保守党首選挙に、国民はブレグジット問題の解決を求めているが、保守党内部では、いかにして保守党人気を解決するかにある。常識的には、ならばブレグジットを円満に解決することのできる人を選ばねばならないのだが、奇妙にも、党内が党首に期待するものは、大向こう受けするタイプらしく、その先頭にジョンソン氏がいるわけだ。

 国民投票でブレグジットを決めて以来、イギリス議会は、この問題を解決できず、実質的には空転を続けてきた。今回の党首選が、議会再生につながると期待されていないのが大きな問題である。

 選挙にせよ、多数決にせよ、数が勝負なのであるが、その数が政治課題に対応力を持ちえないとき、政治はポピュリズムと呼ばれる。