論 考

政治家は仕事をしなさいよ

 各人の老後生活について自助努力が必要という報告書を、所管大臣が受け取らないと言ったところで問題が解決するわけではない。

 ご親切な報告書ではあるが、誰もが自助努力をやっている。国の機関が、国民に自助努力を示唆する必要はない。国民の自助努力のおかげで政治家をやれているのですよ。

 そんなことより、国として何をなさねばならないかを真剣に議論するのが筋道である。政治というものは、社会の富を人々が安心して暮らせるように分配(を誘導)する仕事である。

 そもそも自民党諸君は、社会保障に関する根本的な認識ができていない。国のお世話になる、という表現がそれだ。第二次世界大戦後は、貧乏追放が世界政治の潮流となった。その意味について考えもしない諸君が政治家をやっているから、ポピュリズムの蔓延を招いた。要するに、中身のない芝居をやっているわけだ。

 市民権は、国家の不作為を要求する。社会権は、国家の作為を要求する。貧乏や、社会的格差が拡大することは、政治の不作為であり、つまり、政治家が仕事をしていないのである。政治家諸君は、真剣に反省せねばなりません。