論 考

人と機械

 金沢シーサイドラインの車両が逆走した事故では、やはり機械に依存するのはよろしくないなあ、と思った。

 空自のF35A事故は、パイロットが「空間識」を失ったとする報告だ。報告が正しいかどうかは別として――これ、パイロットが飛行中に平衡感覚を失い、機体の傾きや地面が上なの下なのかわからなくなることらしい。

 ジェット機は超高速だ。白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ、などと悠長にはできない。そこで、「計器を信じよ」ということになっているそうだが、計器を見る時間もごくわずかだろうし、瞬間的にせよ、意識変調をきたした場合にはそれすら確実に可能とは考えにくい。

 自動車やバイクの運転免許を取得したとしても、マシンの最高性能を考えた場合、それを使いこなせるだけの技術を身に着けているわけではない。

 戦闘機に限らず、人間が作った高度なマシン、原発、原爆などなどに思いをはせて、ため息が出てしまう。

 科学の進歩ほどに、人間の精神的・技術的レベルが進歩していない。