論 考

行政の信頼が崩れる

 秋田魁新報が、イージス・アショアの設置にもっとも適当な場所が、秋田県にある陸自新屋演習場だとした防衛庁報告書を点検して、仰角の数値に誤りがあることを指摘した。

 昨日、国会で取り上げられ、防衛相が陳謝した。

 仰角は、仰ぎ見た場合の角度である。周囲に高い山などがあれば仰角は大きくなる。レーダーの作動範囲が狭くなる。

 不適地とした理由が仰角にあるとした男鹿市の国有地の場合、実際は仰角4度なのに約15度としていた。単なるミスではないだろう。

 論拠としてデータを活用するのであるが、データが嘘ということになれば理屈は成り立たない。統計不正もあった。議会での答弁は質問とかみ合わない。

 これでは行政に信頼をおけない。魁新報のヒットがなければ、堂々といんちきデータを基にした理屈が通ったわけだ。

 事実とされるものごとの裏を取るというのは、新聞に限らず鉄則だが、調査データ自体が信用できないとなると、ものごとは前に進まない。