論 考

ツケ送り政治の巨大なツケ

 1993年8月9日、細川護熙内閣が誕生。政治改革を看板とした非自民・非共産の8党連立政権である。内閣支持率は当初71%、過去最高であった。

 某所で内閣の帰趨を問われて、わたしは「長くて1年、短ければ8か月」と答えた。9か月で内閣は総辞職した。

 山勘ではない。政治改革はもちろん支持するが、制度変更では政治改革できない。1955年から続いた自民党政治の棚卸をやらずに、改革できるわけがない。人間の行動は見えざる「習慣」という重石を抱えている。

 なぜ政治改革するのか、についてがっちり合意を固めずしておこなう改革は「感性」的なものであり、すぐに熱が冷める。

 2009年9月16日発足した鳩山由紀夫内閣からの民主党政権も2年4か月ほどであった。こちらも、舵取りに慣れる前に倒れた。簡単に慣れるわけがない。慣れるということは、従来の「習慣」に沿うことだからである。

 いまの安倍内閣だけでなく、歴代自民党政権は、常に前例踏襲して、つまり「問題先送り」を継続している。これが長く続くほど、容易に斬新な政権を打ち立てることは困難である。

 衆参同日選挙が口の端に上っているが、そうなろうとなるまいと、安倍内閣の後継内閣は以前からの巨大なツケ送りに悩まされる。最大のツケを背負わされるのは国民諸兄である。