論 考

大詰めの大詰めのどん詰まり

 英テレグラフが、メイ首相が2度目の国民投票を検討していると伝えた。

 メイ首相提案の「EU離脱案について国民投票」を実施する採決を議会に求めるという内容である。

 2016年の国民投票で僅差ながらEU離脱が決まった。いま、すったもんだしているのは、具体的な離脱案に関するのであり、議会が意思決定できないのだから国民に問おうという理屈であろう。

 国民投票で決まった離脱を実現するのが首相の任務だという筋論だ。

 では、この提案で国民投票にかけるとどうなるか。残留支持の人々はもちろん反対するだろう。

 否決されると、いまの議会の状態と同じ状態になる。離脱を止めるという選択肢がないから、国民が何を求めているのかわからない。

 国民投票をやるならば、仕切り直しして、再度、離脱か残留かを問うのでなければ意味がない。さらなる混乱を招くばかりではないのか。

 報道が事実であれば、国民投票を否定し続けてきた首相が、いよいよ追い詰められてきたということだけが目下の事情である。