日々道楽

議論する政治を作りたい

 19世紀後半、イギリス連邦内では1ペニイの切手を貼ればどこへでも手紙が届いた。ヴィクトリア女王即位60年記念祭(1897)は、その頂点を示す一大イベントであった。もっとも幸福な時代であった。

 それはイギリスが世界の不人気の絶頂であったとも指摘される。他国人からすれば、帝国主義的教養で固めたイギリス人の得意と傲慢がシャクに障るという次第であった。

 それから119年過ぎて、2016年に国民投票が僅差でEU離脱を決めた。そのエネルギー源は、栄光の時代のロマンに浸り続けたい保守党内部のナショナリスト諸君である。離脱支持が多いのは中小都市・農村部、残留支持が多いのは大都市部という構図である。

 19世紀後半には、議会で20年間にわたって、自由党のグラッドストンと保守党のディズレーリが華々しい論戦を展開した。堂々たる弁論戦であったとしていまも語り継がれる。

 ポピュリズム政治というのは、レッテルの貼り合いが派手で、本当に議論するべき中身に及ばないことだ。イギリスのEU離脱問題は、意思決定するためには、いかに充実した議論が大切かという意義を示唆している。

 統一地方選挙前半戦が終わった。選挙は「元旦」とよく似ている。投票して、結果が出て、新しい政治が始まるなんてことはない。勝った、負けたに熱を上げるだけでは政治は変わらない。