論 考

与党議員の三行半

 4月1日にイギリス議会のEU離脱代替4案が再度否決された。

 関税同盟に残るとした保守党ニック・ボールズ院内幹事の提案は、273対276の3票差で否決された。惜しいところであった。

 再度の国民投票の提案に対しては280票賛成、292票反対で否決された。

 ボールズ議員は否決直後、まとめるための努力を重ねたが保守党(仲間)がまとまらなかった。だから「no longer sit this party」(もう一緒にやっていられない)と三行半を突きつけて野党席へ移った。

 アンドレ・モロア(1885~1967 仏)は『英国史』(1937)に、イギリス議会の(美徳的)特徴を、「公開討論と妥協の趣味である。かつ、持久力と順応性に富む」と指摘した。

 粘り強く、何度でも納得できないから議論と採決を繰り返すイギリス議会の姿は、日本の議会では絶対に見られない。感動すら覚える。

 与党のふがいなさに対して、ついにボールズ議員は堪忍袋の緒を切った。これが、単なる1議員の行動で終わるか、あるいは新しい動きに点火するか。

 『英国史』を再読して、改めて感興が沸いた。