論 考

七五調

 松川事件(1949)で、検察のインチキを見破って全員無罪を勝ち取った中心人物は作家・広津和郎さん(1891~1968)である。

 広津さんは「七五調は嫌いだ」と言われた。わたしは、これは名言だと思う。なんとなく調子がよくて、いつの間にか乗せられる。しっかり本質を見抜かねばならない。

 「圧力が 働いたことは 一切ない」——これも七五調だ。「だれが、だれに対して、いかなる圧力を行使したのか」という中味は不明。

 法律を論ずる人々が、中身不明の言葉をやりとりしている限り、「何時間 論議をしても 煮詰まらず」。