論 考

大統領の犯罪疑惑が新段階へ

 モラー特別検察官が2017年5月から調査していた、トランプ選挙陣営とロシア政府の共謀・調整と、トランプ大統領による司法妨害問題の報告書が出された。

 司法長官は「トランプ選挙陣営とロシア政府の共謀・調整を立証していない」「証拠不十分」と議会に報告した。

 モラー氏は「トランプ氏が罪を犯したと結論付けていないが、無罪を証明してもいない」という。

 この種の問題は、いわゆる動かぬ証拠を完全に把握しにくいから、調査としてはほぼ限界なのであろう。ただし、モラー氏発言は「限りなく黒に近い灰色」という意味を表明している。

 司法妨害については、コミーFBI長官(当時)が、「何度もトランプ氏から捜査打ち切りを求められた」と議会で証言している。

 民主党は「報告書の全容を公開せよ」と主張する。これにて一件落着とはいかないだろう。